禁止令と拮抗禁止令
人の日記で知った単語を、うちの患者に当てはめてみる。
人々が知らず知らずのうちに演じてしまう人生プランとしての『人生脚本(Life Script)』の内容には、幼少期に親から意識的(無意識的)に与えられてきた禁止令(injunctions)が大きく影響している。(中略)交流分析の禁止令(injunctions)を臨床的に研究したグールディング夫妻(Robert Goulding & Mary Goulding)は、「するな」というメッセージで表現される禁止令を以下の13種類にまとめた。
- 1.生存するな!
- 2.成長するな!
- 3.お前の性であるな!
- 4.子供のように楽しむな!遊ぶな!
- 5.重要な存在であるな!
- 6.成功(達成)するな!
- 7.所属するな!
- 8.健康であるな!
- 9.親しくなるな!
- 10.感じるな!
- 11.考えるな!
- 12.実行するな!
- 13.欲しがるな!
「結婚なんかしたくなかった」「子供なんかほしくなかった」「私をお母さんと呼ばないで」は1に該当するのかな。
「あんたは馬鹿だから失敗する」は6かな。
めんどくさいという理由で男みたいな短髪にさせられていたのは3だろうか。
無言の圧力を含めれば大半が当てはまるのだろう。特に5とか。
拮抗禁止令とは、『その禁止規則さえ守っていれば、子供の自我状態が受けている禁止令を無視することができるという禁止令』のことである。自分自身に対する要求水準が高く、完全主義欲求に従って完璧に仕事や学業をこなそうとする人に、この拮抗禁止令の影響が見られることがある。T.ケーラーは、拮抗禁止令として『完全になれ・強くなれ・もっと努力せよ・親や他人を満足させよ・もっと急げ』の5種類を識別したが、社会環境や企業組織・人間関係に対して過剰適応を起こし強いストレスを感じている人にも、この種の拮抗禁止令を守っている余裕のない人(強迫観念や強迫行動の傾向がある人)が多い。
5つ全部が彼女の精神を支配している。気が狂うほどの強さで。