雑草魂

 清純派のレッテルを貼られた女は、過去を振り返って語る。
「もっと強くなりたかった。雑草魂がほしかった。もし人に踏まれたら、その足の裏についているガムを食べて生き延びるような」
 当時も今も、彼女のことを温室育ちの清純派だと勘違いする人が多い。しかし、そのことがさらに彼女の傷を深くしている。学校では誰よりも暴力を受けながら、学外ではこの世の穢れとは無縁であるかのような扱いを受ける。家では「お前が悪い」で片付けられる。
 理解されない苦しみゆえに彼女は口を閉ざした。血を吐くほど殴られた痛みも、飲まされた泥水の味も、差し出した手をカッターで切られる恐怖も、誰にも話すことなく心の奥底に閉じ込めた。