『ファルコム音楽フリー宣言』におけるファルコムの勝算

ちょっと遅れたけど。

オールドゲーマーの青春、ファルコムの楽曲が全て無料で使えるようになった。その数、3000曲以上。
僕の友人にはファルコムの音楽を聴きながら青春時代を過ごしたという人が多い。そんな彼らにとっては感慨深いニュースだろう。しかし、今回の宣言はオールドゲーマー向けのファンサービスにとどまる物ではない。もっと大胆な、ゲーム会社という枠を打ち破り別の何かに生まれ変わるための布石だ。おそらく、行き着く先はコンテンツ産業なのではないだろうか。そしてファルコムには勝算があると思う。
大まかな戦略は、知名度の向上による売上の増加であろう。販売する物はゲームではなく音楽だ。もちろんゲームも売るだろうが、先に音楽だ。なにしろ今回のターゲットとなる客層はゲームとは無関係な業界や個人なのだから。演奏家、映像制作、テレビやラジオ、店舗のBGM、果ては自宅でビデオを編集してYouTubeニコニコ動画にアップする僕やあなたがターゲットなのである。
じゃあ、フリーなのにどこで儲けるのか。それはCDを売るのである。あるいはiTunesストアあたりで音声データを売るのである。演奏家向けには楽譜が売れる。
なんだよ、結局金を取るのかよ、などと言う人たちは今回の客層ではない。著作権使用料の支払いに泣かされている貧乏な演奏家や小さな飲食店は泣いて喜ぶだろう。音楽を演奏してもお金を徴収されないなんて……。また、YouTubeニコニコ動画に投稿している人も突然の削除に怯えることなく作品を発表できる。
これらの新しい客層に向けて、目的別に編成されたCDがリリースされるかもしれない。その場合、選曲はゲームの枠を超えて、ジャンルや雰囲気で選ばれるだろう。それは利用者の利便性を考えてのことだ。喫茶店の経営者は戦闘シーンの音楽などほしくないだろう。もちろん、ゲームが好きな人のためにゲームのサントラもリリースされ続けるだろう。
さて、ネットを活動の舞台にしている映像作家や演奏家は、いち早くこの情報を得ているだろう。それ以外のアナログな人々に向けて、ファルコムはどのような広報活動を行っていくのだろうか。数が少なければ無視しても良いのだが、無視しちゃったらもったいないくらいの大きさがあるように思える。有線を引いているけど決まったジャンルの音楽しか流していない店舗とか……。ていうか、ぶっちゃけパイの奪い合いというか、ジャスラックの収入源を奪いに行くんだよね!?
頑張れファルコム、負けるなファルコム
ところで今までの作曲家さん達との話し合いはついているんだよね?