遅めの夏休み

 いよいよ明日から栃木での休暇が始まる。
 実家には両親が健在なわけだが、つくづく真人間であると思う。その思いは昔から変わらないが、高卒後に出会った頭のおかしい人々や、近年の世間を騒がす物騒なニュースのせいで、ますます強まった。うちの親はまともだ。十代の頃にはそれなりに不満もあったが、そんなことはありふれた人生の一こまとして片付けられるくらい些細なことだ。
 うちの母はまともだ。何しろ母としての役目を全うした。子供を守ってくれた。親が子を守ることは当たり前だろうと言う人がいるかもしれない。僕もそう思っていた。しかし、広い世の中は例外をいくつも見せてくれた。最たる例は、うちの嫁モドキの母である。いっそ母モドキと呼ぶべきか。いや、あれは母と呼べる代物ではない。親心や母性というものを知っている人間には到底理解できない、不可解極まりない物体だ。人間かどうかさえ疑わしい。
 その不可解な物体には、2人の姉がいる。これは人間だ。しかも上品で思慮深く礼節をわきまえている。この夏の最大の収穫は、この2人に姪の実態を知ってもらい、我々の味方になってもらったことである。この件はおそらく彼女たちの最後の宿題となったであろう。この年になって自分たちの妹の非人間ぶりを思い知ったショックは計り知れないだろうが、知っていただかないことには我々は先へ進めない。
 なつかしの我が家、物騒な世間と違って安心できる我が家。秋が好きな僕としては、2年ぶりの実家が秋の気配に満ちていることを願うが、まだ暑いだろうか。福岡より2度は低いはずだが。

毒になる親 一生苦しむ子供 (講談社+α文庫)

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