自覚のない知能犯を追いかける。
徘徊するボケ老人を探すのは、こんな感じだろうか。
家の周りを探すが、もはや手がかりなし。
折尾駅まで行ってみたが、行方は分からず。
連れ戻せなくてもいい、せめて実家に帰り着くのを確認できればいいと思い、門司へと車を走らせた。
目的地が定まっていれば、自動車より電車のほうが速い。普段は万能にも思える自動車も、こんな時には無力に思える。
なぜだろう、若戸大橋から見下ろす夜景が今までで一番きれいに思えた。
その後、筑豊ナンバーのセルシオに前後を挟まれながら、199号を走る。
怖さと後悔を抱えながら、不思議とドライな自分がいた。