成長

この3年間、自分なりの教育を彼女に施してきた。手前味噌ではあるが、その効果は絶大であり、会話、料理、歌、論理的思考、状況判断能力、その他あらゆる面において彼女は劇的な成長を遂げた。分野によっては僕を超えるものもある。
ただひとつ弊害がある。錯乱している最中の発言が、より凄味を増したのだ。それは、閉じた自分の中の世界で自分自身をいたぶる言葉である。かつては意味不明な混沌の叫び(それはそれで恐ろしかったが)だったものが、今では論理的に饒舌に研ぎ澄まされた出刃包丁のような呪詛の言葉になった。
やはり我が家ではホラー映画を見る必要がない。
なお、本人は言葉を発している最中の意識がないという。何を口走ったのか把握できることは半々らしい。制御できずに言葉が口から出てしまったことにワンテンポ遅れて気づき、「しまった」と思うのだそうだ。