患者、ゴスロリ初体験

メンヘル系の女性はゴスロリに到達しやすい。患者もまたその一人。しかし、まだ一度も着たことはなかった。
そんなわけで、ゴスロリ趣味の友人の好意で服を貸してもらう事になった。
心を許せる女友達。病んだ者同士の交流。しかし暖かい交流。
今日の一歩は大きな一歩だった。


先日までは、次のような会話をしていた。

ゴスロリって、着るのに勇気が要りますよね」
「そうだね」
「変な目で見られるのも、覚悟するべきですよね」
「そうかもね」
「私なんかがやったら皆さんの気分を害しますよね」
「そうか?」
「通行人と目が合ったら殴られますよね」
「んなわけない」
「髪の毛にガムを塗りつけられても自業自得ですよね」
「んなわけない」
「裏路地に引っ張り込まれてボコられても自業自得ですよね」
「んなわけない」
「はさみで切られ・・・」
「んなわけないって言ってるだろ」


そして今日、その妄想を払拭するべく、誰もが振り返る派手な服装でショッピング。
本人はシンプルな大人っぽい服を好むが、それとは裏腹に、フリルの多い服が似合う。
覚悟を決めるまでは大変だったようだが、いつしか他人の視線を気にしなくなっていた。よくここまで自己改革できたものだ。半年前だったら無理だったと思う。
明日には反動で落ち込むかもしれない。しかし、確実に良い方向へ向かっているのを僕も当人も実感している。
「世界で75番目に醜い」という妄想を覆せる日も近い。