親子関係

患者は親から小遣いをもらうことに極度の嫌悪感を感じている。
10代前半に父親から言われた「無能のくせに飯は食うんだな」「金返せ」という言葉がトラウマになっているらしい。
彼女の貯金は残り1万円。しかし物欲は止まらない。服もほしい。旅行もしたい。
その上、日常の食費まで全て自分の貯金から払おうとする。借金帳まで作って。
にっちもさっちも行かなくなったところで、彼女は思う。
「こんなに物欲が強いなんて、私は何てわがままな性格だろう、罰を与えなければ」
父親への憎しみは、自分への罰へと姿を変える。
でも昨夜は気が付いた。泣き叫んだ末に何かが見えた。
「私は父親にほめられたかったんだ」
その時の記憶はまだ残っているだろうか。