成長の記録

「あの、親を殺してきていい?」
と言えるくらい、患者は健康になった。
ここだけ見れば悪化したように見えるだろうが、そうではない。
相手をしてきた僕もつらかったけれど、彼女の人生も並大抵のものではなかったと思う。
丸めて人にぶつけたら死ぬんじゃないか、そんな計り知れない怨念を他人に向けることを自ら禁じ、その代わりに、髪の毛をむしり、左腕を血まみれにし、立てなくなるほど自分を殴った、そんな日々。
あの時は狂っていた、そうはっきりと言える日が近づいている。
良かった。本当に良かった。