ACOの音楽性も、アルバムをリリースするごとに進化してきた。
けだるく切なく哀愁が染み渡る absolute ego 。
新たなる世界への扉を開いた material 。
そして最新作 irony では、さらなる異次元を見せつけてくれる。
我々受け手が感じるものは、アーティストが伝えたかったこととは違うかもしれない。しかし、アーティストが発する波長は、ある特定のタイプの人間の心に浸透し、揺さぶりをかける。
最新作 irony について、周囲では「何かが出ちゃう」とか「扉が開きそう」という声を聞いた。どちらも過去にいわくつきの女性である。多分、目の前で扉を開かれたら、扉の内容にもよるが、僕は大変な目にあうかもしれない。(いちおう謝っとく。違ったらごめん。>両氏)
これは悪い意味ではない。それだけの影響力――時には危険な――をこのアルバムが秘めているということではないかと思うのである。
僕が抱えているような極端な事例は抜きにして、ACOのアルバムに扉を開かれてしまった人間は決して少なくないのではないか、と勝手に思っている。
開いちゃった皆さんにお聞きしたい。扉の向こうには何が見えたのでしょうか。