自転車に乗った少年

休日だというのに出社しようとして会社の前まできたらシャッターが閉まってた。
その帰りにセルフのガソリンスタンドで給油していたら、自転車に乗った2人の少年がやってきた。
まっすぐこちらに向かってくるので、何事かと思いきや、白いシャツの少年がこう言った。元気で快活そうな少年だ。
「あの、パンクしたんですけど、空気入れありますか?」
しかしここはセルフ給油の店。ガソリンを給油しているからといって、それは店員ではない。しかも僕は空気入れもパンク修理の道具も持っていない。
「うーん、空気入れはないなあ」
とりあえずはそう答えるしかない自分。しかし、ガソリンスタンドの事務所には、もしかしたら空気入れがあるかもしれない。
「あ、俺、店員じゃないから・・・」
まず店員じゃないことを伝えておきたかった。そして事務所を指差す。
「ほら、あっちに事務所があるから・・・」
そこまで聞くと、少年たちは事務所に向かった。
事態を迅速に判断し、自立的に行動できる。実に頼もしい。そしてうらやましくもあった。幼い頃の僕では、こうは行かなかったであろう。
少し目を離した間に、白いシャツの少年は事務所で話を済ませたらしい。空気入れは無かったらしく、黒いシャツの少年に向かって両手でバツ印を作っていた。
その後、彼らは400m先のタイヤ館まで自転車を押し歩き、親切そうな作業員のお兄ちゃんと話をしているのを見かけたのだが、修理してもらえたかどうかは定かではない。